卒寿小論 141 美男美女 蜆と紅に <江戸川柳>
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別名「じじばば」。花姿をこまかく見ていると上の方に、おばあさんが
頭にかぶる”ほっかむり”、下の方に、おじいさんの ”白いひげ”があるこ
とから。
1 蜆(しじみ)
東下りまではつねの蜆なり
東下り=在原業平の東国への旅をさす。
本所業平橋のあたりは蜆の名産地で、業平蜆という。業平が来る前まではただの名前のない蜆であった。
それ迄は只の寺なり泉岳寺 (了 解)
美男美女蜆と紅に名を残し (いいな、いいな)
業平蜆と小町紅、名をのこすのは日本だけではない。世界中で人の名前の付いた建造物や食べ物や衣服などがある。
2 始皇帝
いさめるとあなだと始皇おどす也 禁固、投獄、情報で潰す現代。
始皇帝=秦の皇帝、焚書坑儒を命じた独裁者。昭和10年代の日本の軍閥政府も禁固し、投獄し、また、危険な戦地に配属した。
3 叱る、呵る
美しさ叱られぶりのいゝ女房 叱られても泣いても様になる。いい女。
女房をしかりすごしてめしをたき なんであんなに、後の祭り。
女房をしかると膝でべそをかき べろべろばあ。よしよし。
しかられるたびにむす子の年が知れ もう、いくつになったんだ。ほんとに。
しかられて今朝出たまゝと母苦労 しかればしかったで、心配の種。
4 字
よめぬ字を何(なに)といふ字によんで置き これでいこう。
串といふ字を蒲焼と無筆よみ 味があるな。
林といふ字拍子木とよみもよみ 頭いい。
5 汐 干
品川に不二の影なき汐干狩 春霞で富士山が見えん。
ぱらりっと汐干は人をまいたやう どれぐらい取れました。
汐干には舟の無いのが先キへにげ ぼつぼつ、満ちてくるぞー。
二三日汐干で鍋がやかましい 今夜もあさりか。うまい。
6 敷 居
高い敷居を弐三寸酒が下げ 酒の勢いでもなけりゃなあ。
高い敷居の踏台に母がなり 母さんには頭が上がらないよ。