卒寿小論 15 手も足となり <俳句 9>
手も足となり起き上がる夏の朝 正 悟(俳号 藤掌)
甥から貰った一粒の種が
いやあ、ひどかったですね。50代後半に突然やってきた50肩。布団を敷いて横になったまま身動きの出来ない痛みは初めての経験でした。整骨院に通い半年ほどで完治しました。
それが最初で最後の痛みでした。その後全く肩の痛みは起こりません。あれ以来整骨院を信頼し、なにかあると通っています。
50肩がきっかけというわけでもないのですが、俳句を始めました。
冊子の題字「砂やま」、師系 中村草田男先生、それに新潟という地名に惹かれて即決、入会しました。
降る雪や明治は遠くなりにけり 中村草田男
万緑の中吾子の歯生え初むる 中村草田男
これを機会に「砂やま」主宰の村山砂田男(さだお)先生のご指導を受けました。2001年(平成13年)64歳にしての初体験でした。
メモ帳と歳時記を片手にアッというもの3年間で俳句の基礎を学びました。ありがとうございました。
思ひきりシャンプーの泡旱梅雨 村山砂田男
薬の日の手しなふまで洗ひけり 村山砂田男
正悟(俳号 藤掌)自撰 10句
初明かり鼓動確かに吾が息吹
点呼の声受験列車吹雪く朝
きりきりと寂しさが通り過ぎる春
お点前の今一服と笑む春着
樟若葉重なりあふて鬱に入る
何もかも水と流すか五月晴れ
この世の毒浴びて艶めく彼岸花
ふるさとに戦後が生きてる紅ダリア
木枯らしや娘(こ)が母となる午前二時
すやすやと熊のプーさん掛け毛布
ある日突然、俳句が詠めなくなりました。
茎立ちて蒼茫の地に種落とす この句を最後の句にしました。
吾亦紅 季節の花300より
花言葉は「変化」「もの思い」「愛慕」。