卒寿小論 206 痛まぬほどにつめつめをする (前句)
元禄 前句付け「11」 (前句)痛まぬほどにつめつめをする
乳(ち)をかめど子の歯の生(はゆ)る嬉しさよ 痛まぬほどにつめつめをする
何の解説もいらない現代にもそのまま通じる江戸川柳の一句である。
萬緑(ばんりょく)の中や吾子(あこ)の歯生え初(そ)むる 中村草田男
この一句を思い出す。 なんとも生きる力に満ちた生新な句ではないか。
前句の「痛まぬほどにつめつめをする」は、乳飲み子が噛んだ口を早く離させるために鼻をつまんだり頬をつねったりするわけだけど、吾子の生え初むる歯を見れば痛さもどこかえとんで、嬉しさが体いっぱいに広がっていく。
父親と母親の喜びの実感の違いが、子どもが生まれた時からずっと続いていく。
この違いが子育てや教育の中で生かされなければならない。
父親の役割と母親の役割の微妙な差があるということに心を向ける必要があろう。
菫(すみれ) 季節の花300より
スミレ全般の花言葉は「謙虚」「誠実」「小さな幸せ」
紫は「貞節」「愛」
白は「あどけない恋」「無邪気な恋」「純潔」
黄色は「田園の幸福」「つつましい喜び」