卒寿小論 397 真夜中の「絶望名言」
ラジオ深夜便を聞くようになってどれほど経ったのだろうか。忘れてしまった。
2024年3月4日の深夜便の「絶望名言」が心に残った。
遠藤周作さんの「絶望名言」を聞いて、遠藤さんを見直し読み直してみようと思った。
私は遠藤周作さんの深いところを見逃していた。
著者は、頭木弘樹(かしらぎひろき)さん、聞き手は川野一宇(かずいえ)さん。
頭木さんの言葉
「絶望した時には、絶望の言葉の方が心に滲みることがある」
頭木さんは、古今東西の文豪の中から「絶望名言」を引用して、まとめている。
2011年に「絶望名人カフカの人生論」を編訳して10万部以上のヒット。
頭木さんは、大学3年の時に潰瘍性大腸炎を発病し、13年間の闘病生活を送る。その時
カフカの「僕は人生に必要な能力をなにひとつ備えておらず、ただ人間的弱みしか持っていない。無能、あらゆる点で、しかも完璧に」という文章に救われたと。
普通は、名言格言の類は、短い文が多いのであるが、頭木さんの場合はかなりの長文を引用している。自らを「文学紹介者」と言っている。
今年生誕100年を迎える遠藤周作さんについても、かなり長い文を5つ紹介して絶望名言としている。なかでも気に入った文章を2点紹介してみよう。
1 夜中に布団をひっかぶっていると昨日今日のあるいは過去の自分のやった恥ずかしいことが心によみがえって、突然居ても立っても居られなくなる。
「あ~、あ~、あっ」と、思わず大声をたてている。
「なんだ、そんなことか」と思われる人は気の強い奴。気の弱い奴ならこの経験は必ずあるはずだ。それがないような奴は、友として語るに足りぬ。
2 人生が愉快で楽しいなら人生に愛はいりません。人生が辛く醜いからこそ人生を捨てずにこれを生きようとするのが人生の愛です」
ラジオを聴きながらの記録ですから、間違いもあると思いますので。
頭木さんの「絶望名言」が1冊の本になったので早速買って読みたいと思います。
遠藤周作さんの本も読み直してみよう。