卒寿小論 290 この寂しさを…桃紅格言4
この寂しさを観音様は微笑む
『自分という存在は、どこまでも天地にただ一人。』
~自分の孤独を客観視できる人でありたい。~篠田桃紅
そう思いたいのであるが、私は孤独という体験がない。
母が言っていた「人は人中、地は地中。」で、路地裏の焼酎の匂いが吹き抜ける人の多い便利の良い土地に住んでいた。今は路地裏から抜け出たものの便利の良い人まみれの土地で暮らしている。
だから孤独という感覚に乏しい。孤独を客観視するなど思ってもみなかったことである。
妻がいて娘(こ)がいて我に新茶あり
これで充分である。と、思ってここまで来たのに、娘が遠くに嫁ぎ妻が病気で入院した時に生まれて初めて一人で暮らすことを体験した。
「ああ、この何とも言えない心の在りようが孤独というものか。」
さてさてと、これから孤独とどう向いあって生活していくか、これが問題である。
と、思いながらものんきに暮らしている。
父は「この世で起こったことはこの世で解決する。慌てることはない。」と、よく言っていた。その影響もあるのかもしれない。
凛とした篠田桃紅さんの生き方はとても参考になるが、真似はできない。
これを機会に自分らしい生き方を確かめておこう。いざと言う時に覚悟が定まるように。孤独をどう受け止めるか。