卒寿小論 319 真実は伝えられない 桃紅格言20
真実は伝えられない
『真実は見えたり聞こえたりするものではなく、感じる心にある。
~察することで、真実に近づける。~篠田桃紅』
つい最近まで、政治の世界や官僚の世界で「忖度」という言葉が流行った。
忖度とは、本来他人の心中を推し量ること、「推察」して相手の心の真実に近づく行為である。
それが政治の利害関係の世界で本来の意味からかけ離れ個人の利害のために使われて「忖度」という素晴らしい行為が台無しになってしまった。
あなたにとって都合のいい真実が勝手に相手の真実を否定する羽目になった。悲しいことである。
察することで真実に近づけるとなると「十人十色」の真実が描き出されることにもなる。
それぞれの真実から、国民にとって有効な真実をより分けていくということは、また別の問題かもしれない。
忖度する優しい心を踏みにじって、次に来るのは独善である。近年における「忖度」騒動は正しく方向転換をしなければならない。