卒寿小論 690 憲法に学ぶ「文章表現術」
ほんのちょっとした言葉の使い方で、読み手に与える文章全体の印象が変わる。
知恵者がいて、言葉一つで読み手を納得させたり、胡麻化したりしている。
しかも、読み手にはその意図が悟られぬように。(頭いいよ。見習おう。)
1 削除の効果 2 書き換えの効果 3 言葉の持つイメージの効果
4 文末表現の全体に与える効果
以上4つの視点から、日本国憲法と自民党憲法草案の第11条・12条・13条・19条を例に考えてみよう。
1 削除の効果
日本国憲法
第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
自民党憲法草案
第11条(基本的人権の享有) 国民は、全ての基本的人権を享有する。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である
日本国憲法の「妨げられない」と「現在及び将来の国民に与へられる。」を削除して、自民党憲法草案は「永久の権利である」とまとめられている。
日本国憲法は、積極的な思いが伝わってくるが、自民党草案は、客観的でさらっと他人事のように読み過ごしてしまいそう。
2 書き換え、付加の効果
日本国憲法
第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
自民党憲法草案
第12条(国民の責務) この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。
自民草案の書き替えと付加によって、「責任と義務」が確りと強調され位置付けられている。
3 言葉の持つイメージの効果
日本国憲法
第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
自民党憲法草案
第13条(人としての尊重等) 全て国民は、人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない。
「個人」と書くか「人」と書くかで、何かが違ってくるようです。イメージ作戦の言葉選びの例。
4 文末表現の全体に与える効果
日本国憲法
第19条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
自民党憲法草案
第19条(思想及び良心の自由) 思想及び良心の自由は、保障する。
「思想及び良心の自由」に対する姿勢の厳しさを「侵す」と「保障」で感じ分ける例だろう。
小さな表現の違いであるが、頭の良い人には適わない。
「朝知恵・猿知恵・般若の智慧」を自由自在に織り交ぜて文章を構成していく力を学習して、
自分のこれまでの文章を見直してみよう。
今、掌編小説の推敲に入っているが、「推敲」の参考の一つにしよう。
文章では、全体の構成、起承転結、序論本論結論の見直しも重要な要素であり、
言葉の選択、表現しない部分、文末表現などを「推敲」の視点にしよう。
米寿からの自分の作品の推敲・編集などの暇つぶしの楽しみにしよう。
元気がでますね。ありがとう。