卒寿小論 774 色は噺 嘘から出たまこと(江戸)
戦後、子どもに決まったお小遣いを持たせる習慣がなかった時代。
子どもは欲しいものは、母親にねだって買ってもらう。
母親は一応「お父さんに聞きなさい」という。
その時子どもは、母親に聞こえるか聞こえないかのつぶやき声で
「新ちゃんも、健ちゃんも持ってるんだ」と。言ってその場を寂しげに去る。
ここで「~も、~も」と、友達の名前に「も」をつけて、二人言えばよい。
これで友達の全員が持っていて、自分だけが持っていない嘘つき名人の表現になる。
母親は、次の日には買ってくれる。
近くに小説家の奥さんがいて、顔を合わせると「家の主人はホンと嘘つきですよ。
よくあれだけ嘘が書けると思うのよ」
この奥さん、小説の「虚構」を知らないのか、嫌いなのか。
そう言いながら旦那と仲良く暮らしている。嫌味のない明るい奥さんである。
これが政治問題や利害関係の問題になってくると。「嘘」もバージョンアップして、
素直に騙される。
とくに世論調査の紛らわしい表現。読み手の判断に任せる表現は上手い嘘。
「〇〇党は、世論調査の結果、19歳から29歳までの支持率がゼロパーセントです」
この手の問題は、世論調査の対象人数と調査方法を知らせない意図的な
上手な嘘のつき方で、読者の判断に任せる嘘のつき方です。
調査人数が、100人なのか、1000人なのか、1万人なのか、いわゆる分数における
母集団を変えることによって、読み手の判断を狂わせる方法です。
合わせて、誰を対象にどのような方法で調査したのかも知らせない。
100人中、19歳から、29歳までの人が10人いてのゼロパーセントなのか、
1000人の中に19歳から29歳までの人が100人いてのゼロパーセントなのか。
1000人の対象者が、全員19歳から29歳で、ゼロパーセントなのか。
参考資料にもならない世論調査を、何かの意図を持っての戦略と思わざるを得ない。
お客様情報で、二三人の意見を載せる方法は、戦後の子どもが「新ちゃんも、健ちゃんも持っている」という嘘つき名人の手法と同じで、嘘とまでは言わないが、上手な商法である。
嘘なのかまことなのか、分からいように嘘をつく集団の代表は、
「作家と政治家」が多いようである。
講談師見てきたような嘘をつき、公約とは守れないから公約である。
嘘も方便と言って、ついてよい嘘もある。
人の心を和ませ幸福感を与える嘘は認められているようだ。
天国も地獄も極楽浄土も、嘘も方便の最大の嘘で、人を幸せに導いてくれる。
有り難い嘘から出たまことである。
信じようかな、イワシの頭も信心から、信じると自律神経が落ち着くようである。