卒寿小論324 がめつさも笑いのネタになる
がめつさも一ひねりで笑っちゃうね
匂いと音の勝負
ウナギ屋の前を通るたびに、サテもうまい匂いじゃ、とかいで通る。大晦日にウナギ屋から呼び込み、
「毎日の嗅がせ代、六百文でござる」
「それは安いものでござる」
と、ふところより六百文、板の間に投げ出し、
「これ、この音を聞きたまえ」と言って、またふところへ。
(座笑産)
今も昔も二刀流
娘に縁談二つあり。ひとりは大金持ちなれども大のぶ男、ひとりは貧乏なれども色男。どちらにしたらよかろうと両親が娘に語ると、
「両方へ嫁入りしましょう」
「とんだことを言う。両方へ嫁入ってどうしようというのじゃ」
「昼はお金持ちのうちで食って、日が暮れたら、よい男のうちで寝ます」
(わらひ初)
ボーイハント
京都清水の舞台から美しい娘が飛びおりると京じゅうのうわさで当日清水の下は大群衆。
かかる所へ腰元あまたうちつれて美しい娘が参詣、あれだあれだと言うなかを本堂へ参詣し、舞台に出てほうぼうを見回し、
「きょうはよしにしよう」と立ち帰る。翌日もそのようにして帰りがけに、腰元にささやく
を聞けば、
「殿がたをたんと集めても、よい男はいないものじゃ」
(臍が茶)
江戸小咄や江戸川柳を読むと現代の生きざまの原点が見えて面白い。
江戸庶民よ。あっぱれなれ。笑って元気を出そう。