syougoのブログ

余命ゼロ年代を生きるために

卒寿小論 212 もたれかゝれる人の右流左死 (前句)

元禄 前句付け「12」 (前句)もたれかゝれる人の右流左死(うるさし)


忍ぶ夜に女違ひのつくも髪(がみ) もたれかゝれる人の右流左死(うるさし)


 参考 つくも髪=白髪 右流左死(うるさし)=もとは、人望のある人の意


 ドジな後輩が忍んでいく部屋を間違えてとんでもない人違いの人のところへ入り込んでしまった。しかし、今さら間違いましたとも言われずもたれかかる人を抱いて右往左往と。
 しかし、よくしたものでこのまちがいは本人の腹に収めて結婚をしたところ夫婦円満に添い遂げている。後輩はとても大事にされて満足な生活を送っている。めでたし、めでたし。
 本当にあった昭和のお話。


 気の軽き嫁は我が子の一性望(ひともとで) 笑ふ門には福来る也


参考 気の軽き=きさくである。 一性望(ひともとで)=元手。資本。


 明るく愛嬌があって何事も億劫がらずに気軽に動き回る嫁は、我が家にとってのこの上もない財産である。
 小商いの若女将や政治家の妻の役割は一家の繁栄や政治家の当落に大きく影響を与えている。それほど女の力は昔から強いのである。見上げたもんだよ女の細腕。拍手。



打(うち)ぬけて相手のなきを碁の病(やまひ) 只ものぐさき日昏(ひぐれ)雨降(る)


 参考 打ちぬけて=碁の奥義に到達して。病=欠点 只ものぐさき=おっくうである。


 父がだんだんと碁の腕を上げて、今までは喧嘩をしながら「碁敵は憎さも憎し懐かしき」という仲間から離れていった時、この川柳の気持ちと一致。あまり強くなりすぎるとかえって仲間内の楽しさを捨てることになる。


 趣味でやることはほどほどでいいのかもしれない。あまり素人離れしていくと人が離れていき一人ぼっちの淋しさを味わうことになりかねない。
 そうは言っても強くなりたいよね。負けると悔しいよね。この時期が一番面白い時であろうか。


       あまり腕を上げて孤独になるのも考えもんだな。


                    

                       和泉先輩の切り絵より

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