卒寿小論 76 いろりにてくどきおとして <江戸川柳>
木 槿 季節の花 https:www.hana300.com/
花言葉は 「信念」
1 虫 歯
物や思ふと人の見る虫歯やみ
「しのぶれど色に出にけりわが恋は物や思ふと人の問ふまで」平兼盛
男は様にならないが、女性がうつむき加減に物思いにふけっているように見える様子は、それが虫歯であろうと腹痛であろうと男の心を引き付ける。不思議な心理である。
2 娘
いい娘母も惚れ手の数に入り 一番の惚れ手は母さんだよ
藪入は母のじまんをうるさがり 母さんの宝だもん
知った方へはあげられぬ娘なり 知らない方へ押し付けよう
3 麦
いろりにてくどきおとして麦の中 麦畑は田舎のパラダイスだ。
参考 冬は囲炉裏端で話がはずみ良い仲になる男女が多い。しかし、田舎のこと人
目を忍ぶのは麦が成長するまで待たねばならない。田舎事情があった。
まだのびもせぬにもう來る麦ばたけ 辛抱がたりねえな。
麦ばたけざわざわざわと二人にげ 野暮なやつか。恋敵か。
4 聟(むこ)
聟えらみする内柳臼になり えり好みをしていると臼になるよ。。
参考 柳=柳腰、臼=堂々たる腰つき
聟えらむ内雑兵の手にかゝり そんなもんだよ。つい焦っちゃったのよ。
参考 雑兵=身分の低い兵卒、地位の低いもの。
女房と思ふがむこの不覚なり 家付きには頭が上がらねえよ。
外聞のいゝ奉公と聟思ひ 悟りましたね。それでいいのだ。