卒寿小論 134 目と目それから手と手<江戸川柳>
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1 目
先ず目と目それから手と手口と口
このコミュニケーションが抜け落ちた現代は男女関係がうまくいかない。スマホでいくらやり取りしても、体温が伝わらない。
気があれば目も口ほどに物を言ひ には、遠く及ばない。
先ず、いはずかたらず我心目で知らせ
コミュニケーションの初めは目から。そして手と手、口と口。
江戸の生き方を学び、恋の基礎基本を見直そう。
2 妾
江戸時代、妾は合法であった。芭蕉は結婚をしなかったが妾は持っていたようである。
なお、江戸では「めかけ」上方では「てかけ」というそうである。目をかけるか。手をか
けるかの違いはあるが、役割はどちらも同じ。
御主人と思はぬめかけ首尾がよし 奔放、大胆さに惹かれるものだ。
めかけのはねだり下女のはゆすり也 非合法の弱み。ゆすられますよ。
めの字からへの字になるとつけ上り 世継ぎを生んだお部屋様、様
おめかけの威勢は股で風を切り 小股が切れ上がって粋だね。
3 名 物
しぎ立沢で蒲焼を弐百食ひ 神奈川大磯の渓流で蒲焼
心なき身にもあはれは知られけり鴫立沢の秋の夕暮(西行)も蒲焼食ったのかなあ。
さざゐ殻海へぶち込むさった坂 さった峠の下の海でサザエを喰って、駿河湾に浮かぶ
富士を見ながら、峠越えだ。
俗な道の記あべ川をほめてあり 静岡の安倍川餅か
丸子の喧嘩すりこ木をやたら出し 静岡名物丸子のとろろ汁
もう降ってもよいと飴の餅を喰い 東海道小夜の中山飴の餅
日坂の山を旅人が喰ひへらし 掛川日坂(にっさか)宿のわらび餅
武者はなほ酒まできつい三河もの 愛知三河の鬼ころし
蛤はため小便をたれて食い 三重は桑名の蛤よ
広いこと馬も乗込む姥が餅 滋賀県草津のうばが餅
東海道、道中記を書く代わりに名物を喰う。いつまでも腹に残る。
4 飯 焚(めしたき)
めし焚に婆アを置いて鼻あかせ 手をつけるならどうぞ。あんた。
5 目見得(めみえ)
目見え乳母大はだぬいで両手つき みてください。よく乳でるよ。
参考 目見得=面接試験。奉公人を雇うときの主人の面接。