卒寿小論 180 「まくら」が好きですね
漫文5 「まくら」が好きですね
落語は「まくら」が好きですね。まくらのセンスで話の内容や話し手の方向がよく分かる。
気に入っているまくら
夕暮れ時、お寺の境内で小坊主が竹竿を振り回しているのを和尚がみて。
「これ珍ねんや、そこでなにをしておる。」
「和尚様、星が美しいので取ろうと思いまして。」
「バカな。星を取るなら、屋根へ上がれ。」
用事で出かけると向こうから友達がやってきたので一つからかってやろうと
「ヨウ 貧乏神どこへ行く。」
「おまえのうちへ行くところだ。」
いまいましいことを言うやつだと思いながら用事を済ませて帰る道で、また、その友達に出会い。今度はめでたく。
「ヨウ、福の神どこへ行く。」
「今、お前の内から出て来たところだ。」
などと江戸小咄から採ったまくらが多い。
新しいところでは「春風亭小朝」のまくらが面白い。が、あまり上手過ぎて何度も聞いていると嫌みに聞こえる内容のものが出て来た。
柳亭痴楽の「綴り方教室」は昭和の新しいまくらである。
これからさらに現代的な感覚のまくらが出てくることを楽しみにしている。
先日用事で母校の高等学校へ出かけて用を足しにトイレに入って面白い落書きを二つ見つけましてね。
その1
「努力とは、隣の奴の答案を盗み見ることである」
「実力とは、隣の奴の答案を取り上げて、自分の名前を書くことである」
その2
「トイレに入って、前を見ると、右を見よ、右を見ると左を見よ、左を見ると後ろを見よ。後ろを見ると、キョロキョロするな」と書いてあった。
昭和のよき時代の落書きですね。こんな落書きはもうなくなったと思います。今はどんな落書きがあるのでしょうか。もう落書きが姿を消したのでしょうか。
さて、どのようなまくらで新作落語が登場して来るのか楽しみにしておこう。