卒寿小論 267 よく務まりましたなあ<教育10>
同級生や同年輩の退職教員と顔を合わせると話がはずむ。
「今の時代(令和)だったら、務まらんで。あの時代だったから何とか務まったと思うな
あ。」
あの時代というのは、昭和30年代で今現在85歳を過ぎた年齢である。
「いやあ、本当によく務まったと思います。」
「先輩が新任教員を連れてよく飲みにつれて行ってくれた。この酒の場が新任にとっての何
よりの研修の場でしたね。」
「組合も元気良かった。何かあると前面に出てきて応援してくれました。」
「その上、教師はまだ信頼と尊敬をされていた。それが新任教員を助け、育ててくれたよう
です。」
そうなんです。安月給で勤務時間はあって無きがごときであったが、新任教員は元気に毎日の教育活動に取り組んでいた。新任教員のリタイアは無く、精神疾患で休職する教員も皆無に近かった。
2023年(令和5年)6月21日(水曜日)の朝日新聞
「新任教諭 増える退職~目立つ精神疾患 09年度以降で最多」
何が原因でこうなったのでしょうか。
新任教員の育つ環境が大きく変わった。遊ぶことをやめて勉強。遊びを知らず仲間内のコミュニケーションの欠如。一人遊びか塾通い。子どもが育っていく生活環境の大きな変化。
教師が信頼され尊敬されていた時代は終わった。
だからこれからの教師に対する価値観、社会の目をどう構築していくかが大問題である。
小手先のことで簡単に変わるような問題ではない。
教育の在り方を教育制度も併せて改革していかないと、教育問題から日本の社会が崩れていくような気がしてならない。