卒寿小論 308 どうしたら死は・・・ 桃紅格言12
どうしたら死は怖くなくなるのか
『考えるのをやめれば、なにも怖くない。ただ「無」になる。
~歳をとるにつれ、日常に「無」の境地が生まれてくる。~篠田桃紅』
いくつぐらいの時だったろうか、考えるのをやめれば気楽に生きられるだろうになあ。と思ったことがある。考えることをやめることは生きている間は到底できないことであると思った。
ところがある瞬間、考えることをやめている時があることに気づいた。
それは興に乗って我を忘れて文章を書いている時であった。我を忘れて夢中になって書いた文章は後で読み返して、どうしてこのような文章が書けたのだろうと自分でも不思議に思う。今、書けといわれても二度と書けない文章である。
文章を書く面白さはそんな文章が飛び出してくるところにあるようだ。
文章だけではない。何事も夢中になってやっている時は考えることをやめて「無」になっているのかもしれない。
「考えるのをやめる」ことはできないと思っていたのであるが、無我夢中になって行動をしている時は「無」の境地に達して「死の怖さを一瞬忘れている」気がする。