卒寿小論 61 袖の下たびかさなりて <江戸川柳>
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1 添 乳(そえち)
添乳してついせんたくが夢になり
電気洗濯機のない時代の主婦の生活の様子が想像できる。昭和の20年代の主婦は大変であった。炊事、洗濯、掃除に子育てと夕時には1日の疲れがどっと出て睡眠不足になってしまう。
洗濯機、電気釜、掃除機が出そろって家庭における主婦の仕事が激変した。
男でも簡単にできる家事が多くなって男性の家事への参加が増えてきた。男女共同参画の時代背景が整った。
主婦でなければできない家事がなくなって、女性の役割がぼやけてきた。
と同時に男の役割もぼやけてきた。これからが男女の役割をどうするかが問題になってくる。
男女の役割はなくなっていく傾向にある。
亭主が仕事から帰ってきても添乳中の女房は強い。
添乳して棚にいわしが御座りやす
添乳する女房とセルフサービスで棚のいわしを探す亭主、何かいい風景だな。江戸から昭和20年代頃までの庶民の家庭生活の一コマであった。
2 袖の下
袖の下たびかさなりてほころびる ほころぶとぼろが出るぞ
袖の下=人目を忍んで渡す賄賂
むつかしい顔をうっちゃる袖の下 もらったな、このニコニコ顔
袖の上から出したので取りにくい 空気がよめん奴だ
袖の上から取ったのは怖くなし 政治献金だよと金庫へ
袖の下やらぬとばゞあ長座する 遣り手へも壱歩はね
3 杣
やめば切る木陰に杣の雨舎(あまやど)り いい句だ。蕪村を思い出す。
木の枝に杣の昼飯ぶら下り こんな一句をひねりたい。
参考 杣=木材を切り出す山、また、大きい建造物の用材を確保するために所有する山林。また、杣木を伐り出すことを業とする人。そまびと。きこり。