卒寿小論 119 がたがたとふるえながらも <江戸川柳>
鐵線花 季節の花300 https:www.hana300.com/
花言葉は「精神的な美しさ、旅人の喜び」
1 出会茶屋(であいぢゃや)
出合茶屋鏡を貸すがしまひなり
出合茶屋=密会のための貸席、上野不忍池畔に多く、池の茶屋、蓮の茶屋などと言う。
乱れた髪、崩れた化粧、着物を整えて帰り支度が終了。今も昔も静かに人知れず繁盛した商売である。
ひそひそと繁昌をする出合茶屋
出会茶屋あやうい首が二つ来る
ことが公になれば、打ち首ものだ。あぶない、あぶない。
現代感覚の不倫というようなものではない。市中引き回しの上、打ち首獄門となる。これは表向きで、ケースバイケースで、ことを処理していた。
何といっても江戸の町は圧倒的に女性が少なかった。女性優位の面もあった。
士農工商の世界で罪と罰の感覚が違っていたこともあるので、一つ一つについて具体的に考えていかなければならない。
2 手
目をふさぐ手を遠くから持てくる そっと近寄ってだアーれだ。遠い昔昔の物語。
手をとると顔をさげるが女なり セクハラで訴えられるぞ。
がたがたとふるえながらも嬉しがり 生娘だね。そんな時代もあったのだ。
されたとも言われず御手がつきました ご主人様のことです。言えません。
3 亭主
店中で知らぬは亭主一人なり ほほえましい旦那様。
店中(たなじゅう)=長屋の中で。
ねかす子をあやして亭主しかられる 仕事の後の子の寝顔。
4 貞女
くどき損御貞女さまと手もちなさ 残念なり、あっぱれ。
参考 貞女=操を守る女 手もちなし=手持無沙汰
貞女や操という言葉は死語に近いかと思っていたら「あなたのために守り通した
女の操」が流行して考え直した。
惜しい事いい後家なれど貞女也 いい女だ。
7 手代
その手代その下女昼は物言はず よそよそしいのは恋の始まりか。
参考 手代=商家の番頭と丁稚の間の雇人。雇人同士の色事は厳しい時代。恋愛の自由
が認められたのは昭和の敗戦後の日本国憲法からである。