卒寿小論 231 幽霊の浜風 (上方)
【幽霊が海岸の浜風にあおられるようすから、元気のないようす。迫力のないさまのたと
え。】
一つ下の後輩の隣人が、大学一年生になった時、我が家の前を「幽霊の浜風」にぴったりの風情で歩いていた。
魂が抜けってしまった感じで、風に乗っていまにも空に昇っていくのではないか。そんな感じである。純粋で生真面目な後輩である。
何があったのかと少し詳しく情報を仕入れると案の定、後輩は恋をしていたのである。昭和の三〇年代はそのような恋に陥る若者がわんさといたのである。
テレビも電話もましてパソコンもない、ラジオと手紙が情報交換の主流である。そんな時代だから今では考えられないような「恋煩い」という江戸落語に出てくる若旦那のような青年がいたのである。
携帯電話やスマホの時代では、引きこもりにはなるが「恋煩い」などには到底なることはできない。
古き良き時代に「恋煩い」をした後輩は、本当に幸せな男であったと深く思っている。
ユキヤナギ 季節の花300より
花言葉は「愛らしさ」「気まま」「殊勝」
ダンチョネいろは歌
別れ間際に 涙を浮かべ (アーどうしたどうした)
あしたまたね 孫の声 ダンチョネ (エーなんとなんと)