卒寿小論 128 生娘は膝っこぞうに <江戸川柳>
金盞花 季節の花300 https:www.hana300.com/
花言葉は、「別れの悲しみ」「悲嘆」「寂しさ」「失望」
1 生息子(きむすこ)
生息子は連れに目ききをして貰ひ
生娘というのは聞いたことがあるが生息子という言葉は初めて知った。
何はともあれ初めての経験というのは、水先案内人がいる。近くの先輩がその役目を果たす。江戸の世の生息子の最初の体験は、格子の中に並ぶ遊女を選ぶことであるが、初めてだから目がくらんで選ぶことができない。そこで先輩が選んでくれる。
これから、生息子がドラ息子へと成長していく母親泣かせである。
きむすめは片袖すててにげて行く
袖を引かれてもなびかず、抵抗して逃げていく、生娘の抵抗はいいねえ。
いつのころから、この抵抗が消えていくのだろうか。江戸川柳で探してみよう。
2 生娘(きむすめ)
きむすめは片袖すててにげて行 いいね。清純な時代もあった。
生娘は膝っこぞうに五人力 凛とした抵抗。たのもしい。
手にあたるものできむすめぶって逃げ 怪我しなかった。なにより。
3 禁 酒
無刀で帰宅仕(つかまつ)り以後禁酒 刀を忘れた。始末書だ。
禁酒した目につれなき雪月花 酒なくて・・・あ~。
禁酒だとおっしゃりませと袴腰 賢い奥方。袴を手伝いながら
4 木 蔵(きぞう)
ひっぱいで起す娘は木ぞう也 何も考えない時がいい
参考 きぞう=まだ色気の付かないこと。男を起こす起こし方で女の年齢や生活が透け
て見える。
つむりからまくる朝寝は女なり 寝ているのは女
逃げ道をあけてきぞうをくどいてる 寝ているのは図図しい男
5 北
おやじまだ西より北へ行く気なり 元気でけっこうけだらけ
参考 北=吉原の異称、北里・北国とも言う。西は西方十万億土あの
世。隠居したおやじも西より北へ足が向く。