卒寿小論 46 女湯へおきたおきたと <江戸川柳>
女郎花 季節の花300 https:www.hana300.com/
花言葉 約束を守る、美人、はかない恋、親切
1 鸚 鵡
引っこした先も隣にあふむが居
いつの時代も変わらずどこにでも放送局や新聞記者がいる。これが地域社会のコミュニケーションの原点でこの井戸端会議から居酒屋やカフエ、地方議会へと発展してきたわけである。
今一度、井戸端会議を見直す価値があると思う。
井戸端へ人の噂を汲みに行
江戸時代、長屋の女房の楽しみの一つであった。
流石に現代は井戸のない社会になったので、スマホ片手に集まりやすい場所を意図的に設定するとよい。金がかからず楽しいおしゃべりのできる場を見つけよう。
コンビニへ人の情けを汲みに行く
そんなコンビニやスーパーがあると楽しい買い物ができるのになあ。
2 大一座(おおいちざ)
施主はまだ泣いてゐるのに大一座 よからぬ相談はすぐにやる。
大一座=川柳では多人数で女郎屋に登楼することをいう。葬式帰りや花見や夕涼みの
くずれが多い。
町内のぎりさへすむと大一座 なにはともあれ義理とふんどしは。
大一座無理往生は数珠をもち 年寄りの冷や水、ポックリ行くかも。
その数珠はしまってくれと土手で言い 爺ちゃん、それはしまってよ。
人といふものは知れぬと大一座 集団心理は怖い。一人では出来ないことも。
3 女湯
女湯へおきたおきたとだいて来る おこしたんじゃないの、 ほんとに。
女湯で赤子を抱いて蓋にする 自然な動きよ。自然、自然。
女湯はからしが浮いてみんな出る 可愛いうんち 這い這い
4 大三十日(おおみそか)
大晦日首でも取って来る気也 いざ出陣、無事のお帰りを。
参考、江戸時代の大晦日の意味を知らないと落語の鑑賞はできない。庶民の支払い
は盆と暮れの二期払いか、年4度の支払いとなっており、決済の時期が長かった。
だから、掛け売り代金を取り立てる方も代金を支払う方も、首を取るか取られるかの真剣勝負であった。井原西鶴の世間胸算用「掛け取り上手の五郎左衛門」や町人の生活の悲喜哀歓が伝わってこない。
それほど町人にとっての大晦日は大変な一日であった。
大三十日うそで鬼神を感ぜしめ ここまで嘘をつければ官僚になれる。
参考、鬼神=死者の霊魂と天地の神霊。人の耳目では接しえない超人的な能力を有す
る存在。
大三十日内儀まことしやかにのべ かしこい恋女房よ。すまん。
からめては女房のふせぐ大三十日 女房をまず落とさねば、・・・
病人にまやものゝある大三十日 仮病作戦でいくとしよう。
江戸時代の大晦日の意味と不倫の掟を知らないと井原西鶴の世界を理解することは難しい。現代の感覚での大晦日と不倫は掟の上からまったくの違いがあり、それが人の生き方を左右していた。
掟が人生観を方向づけたよい例として井原西鶴の作品は参考になる。
5 追羽根
なりふりにかまけ追羽根娘まけ
(1・2年前までは活発に走り回っていた子が、いい娘になって道行くイケメンが立ち止まったりすると、もう大変。なりふりにかまけるわ。)